2023年5月現在、ゆずソフトからは12作もの美少女ゲームが誕生しています。
出オチオ○ニーの『サノバウィッチ』(8作目)、”Legend of Eroge”の『千恋*万花』(9作目)など、様々な個性あふれる作品が、我々アダルトゲーマーの期待と股間の膨張を高めてくれています。
そんな中、ゆずソフトユーザーの中でもあまり知られていない、少し異色な雰囲気を醸す作品があることを、皆さんはご存知でしょうか。
今回はそんな、ゆずソフト屈指のマイナー作にして隠れ名作、『夏空カナタ』の紹介コーナーです。
※この記事には、ネタバレこそありませんが作中の立ち絵が登場します。事前情報なしで初見プレイされたい方は、そっと閉じていただいた方がいいかもしれません。※
それでは、
この春、真夏のようなあの島に、15周年の祝辞を――
夏空カナタとは
前述のとおり、ゆずソフトでもあまり知られていない作品なので、まずは『夏空カナタ』が何者なのか簡潔に(短いとは言ってない)紹介をば。詳細を知りたい方は公式様サイトへ→(夏空カナタ公式サイト)。
夏空カナタ。2008年5月23日に発売されたゆずソフトの第3作目で、略称は『夏カナ』。キャッチフレーズは『あの冬、真夏のような この島で――』。
舞台は、沖縄県とほぼ同じ緯度にある架空の島『塔弦島(とうげんとう)』。キャッチフレーズのとおり、年中真夏のような気候を保つ不思議な島なのですが、なぜ年中暖かい気候を維持しているのかは誰も知りません。天色*アイルノーツの『ライゼルグ』と設定が似て(数十年前に突如現れたけど何故だかは不明)いますが、この作品ではこの不思議な島が物語の中心です。
主人公の朝倉壮太君は、真冬時の12月にこの真夏のような島を訪れ、ペンションでアルバイトをしながら島の秘密と真実に迫っていく――、というのがこの作品のおおまかな流れです。
2021年には、ゆずソフト誕生15周年を記念して、”のーぶる☆わーくす”までの初期5作品をまとめたアニバーサリーBOX『ゆずソフトPENTA BOX』が発売され、令和の時代に再び脚光を浴びました。またそれに合わせ、センターヒロインの茅羽耶ちゃんに久方ぶりの新規描き下ろし絵が誕生しました。茅羽耶ちゃん可愛い(告白)。
唯一無二、夏空カナタならではの世界観
この作品、今までのゆずソフト作にはない、数多くの異色な特徴を持ちます。前作に”ゆずソフトらしくない”でそこそこ有名な学園バトルADV作品”E×E”がありますが、個人的にはそれ以上だと思います。
ナニがどう異色なのか、一つずつおさらいしていきましょう。
金髪ヒロインがいない
これは豆知識程度の内容ですが、夏空カナタにはゆずソフトで唯一金髪ヒロインがいません。
夏空カナタのヒロインは上の3人で、真ん中にいる上坂茅羽耶ちゃんがセンターヒロイン、続いて右側の三好由比子ちゃん、左側の七条沙々羅ちゃん。黒髪ヒロインがいない前作の”E×E”と並び、現在では恒例となっている黒髪・金髪がいない作品として、巷では少し有名です。
あ、でも一応金髪キャラはいます。見た目はいかついおっさんキャラですが。
学院(学園)が登場しない
夏空カナタには学院(学園)が登場しません。意外かもしれませんが、これもゆずソフト唯一の作品です(PARQUETはYUZUSOFT SOURなので除く)。
一応このように制服立ち絵自体はあるのですが、これを着るのは由比子ちゃんだけ。更に、壮太くんは冬休みを利用してこの島を訪れているため、学校にも通いません。
他のヒロイン2人がまた独特なキャラ設定なので、あれを踏まえると確かに学院設定を加えるのは難しいでしょう。このあたりはPARQUETとも少し似ていますね。
公式サイトに個別ルートのあらすじが書かれる
この作品、ゆずソフトで唯一あらすじが共通ルートの導入ではなく個別ルートの内容になっています。現在はPENTA BOX発売に伴うサイトのリニューアルで茅羽耶ちゃんのものしか見られませんが、かつては由比子ちゃん、沙々羅ちゃんのストーリーも見られました。
そしてこれ、YouTubeに動画として投稿もされています。こちらは茅羽耶・沙々羅の2人だけですが、どちらも今でも見ることができます。
一見既にネタバレが炸裂しているようにも見えますが、夏空カナタは逆にこれが狙いです。それがよく分かる内容が次の記事。
ヒロインストーリーに完全特化された作品
少し不思議な言い回しですが、これを分かりやすく要約するなら、
”共通ルートが驚異的に短い”
&
”個別ルート展開のインパクトが強烈”
が一番的確でしょう。
この時代のゆずソフトは、現在のようなChapter方式ではなく日付制で物語が進みますが、この作品、なんと共通ルートがたった3日で終わります。
現在のゆずソフトに例えるなら、Chapter1-1に始まり、Chapter1-3後半ではもう個別ルートに突入している、という感じでしょうか。
これが意味することは何か、勘のいい方はもうお分かりでしょう。
そう、歴代作品の中でも突出してストーリー特化な作品なのです。
言い回しが少し語弊を生みそうですが、この時代のゆずソフトは通称”お試し期間”と呼ばれる作風の迷走期。現在のようなキャラの可愛さが光る作風が出来上がるのは、この次の作品である天神乱漫からなので、まだヒロインたちの可愛さがあまり強調されていない頃です。
つまり、エロゲとしてのヒロインの可愛さはあるものの、本命はヒロインたちと塔弦島を巡るストーリー、というのが、この”ストーリー特化”の意味することです。そして、これが夏空カナタ最大の特徴でもあります。
さて、夏空カナタ最大の特徴を話したところで、次は夏空カナタ最大の魅力についてお話ししましょう。
ゆずソフト屈指のシナリオゲー
前述のとおり、夏空カナタはヒロインたちのストーリーに完全特化された作風が特徴です。つまり…
それは、夏空カナタがゆずソフト屈指のシナリオゲーであるということ。
他のゆずソフト作品をプレイした後に夏空カナタをプレイすると、そのシナリオの重さに衝撃を受けます。
某カウントダウンで『でも由比子に秘密はない!!』と言われてる由比子ちゃんもいますが、逆に言えば残り2人が超展開すぎるところもあります。特に茅羽耶ちゃん。キャラ紹介の段階で”記憶を3日しか保てない”という衝撃的な設定があるだけあって、結末もかなり衝撃的です。
ネタバレを防ぐ関係上これ以上は語れませんが、実は茅羽耶ちゃんより重い沙々羅ちゃんルートだったり、他のゆずソフト作品に比べてかなり複雑なストーリー展開だったりで、どのエンディングに突入しても走破した後の余韻が抜けきれません。
そして何より、思いっきり泣けます。マジでヤバいです(語彙力)。
もしかしたら皆さんも走破しきった後、『こんな神作品が眠っていたなんて…』と思う日が来るかもしれません。実際、夏空カナタを走破した方の反応は皆『めちゃくちゃ良かった…』ですから。
みんな、お幸せに…(まとめ)
いかがでしたでしょうか。この記事を通して、ゆずソフト界の少し不思議な作品、夏空カナタに興味を持っていただけたら嬉しいです。
少し意味深なまとめタイトルですが、作品をプレイした方なら共感できるはず。詳細を知りたい方は是非夏空カナタを購入してプレイしましょう。
私自身あまりシナリオゲーが得意ではない人なので、最後の方少し感情論混じりな感じがしなくもないですが、それでも、シナリオゲーが好きな方にはとてもインパクトの残る作品です。実際私も泣きましたし…
あと、ちょこちょこ”茅羽耶ちゃん可愛い”というフレーズが飛び交っていますが、それについてはいつか別記事でまとめようと思います。彼女、色々すごいので…
それでは、夏空カナタ紹介記事でした。改めて、発売15周年おめでとうございます!!
あとがき(祝発売15周年!!)
皆さんらんまんは。関西大好き関東民、アズサイリです。
今回は、この記事の投稿日(2023年5月23日)に発売15周年を迎えた、夏空カナタに関する特集でした。この記事を書くにあたって、投稿日の深夜から一気に夏空カナタを走破してきました(睡眠挟んで7時間)。諸事情でこの作品から少し離れてた私ですが、夏カナファンの感動する気持ちの理解が、今まで以上に分かった気がします。
最近、某絵師さんの愛情あるヒロインお絵描きと熱い布教により、”隠れ名作”として浸透を始めだしている夏空カナタ。発売から15年経ち、ここに来て新たなブームが巻き起こってくれることを、1人のゆずソフター(ゆずソフトユーザー)として祈るばかりです。
それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。
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